コンクリートを使わない大正時代の治山治水施設「牛伏川フランス式階段工」を見学。
牛伏川フランス式階段工
牛伏川フランス式階段工を見てきました。
ちょっとお城から離れますが、長野県の松本市にある重要文化財です。
牛伏川は鉢伏山から流れ出てくる一級河川なんですが、以前は土砂の流出が激しくて水害が多発してたそうです。これを改善するために作られたのがこの階段工だそうです。
明治以降から対策が続けられて、ここ牛伏川フランス式階段工は大正5年に作られたそうです。
階段を多く作ることで水の勢いを弱めるという仕組みらしいです。
結構長く続いてます。
見るとこれで終わりなんですが、せっかくなので上流の方へ散歩してきました。
意外だったのはコンクリートを使ってないらしいところです。
もともとはフランス・サニエル渓谷の階段工法をまねしたつくりらしいのですが、空石積みなどの日本の伝統的技術が使われているそう。その理由で名前に「フランス式」ってあるんですね。
延長141m、19の段さ。1段は約1mで落差は全体で約23mだそうです。
日本は山が多くて、それだけに川も急で昔から水害が絶えなかったようで、江戸時代は徳川家康が利根川を江戸湾からはるか遠い銚子まで流路を変えた利根川東遷事業があります。
大阪も似たようなもので大和川の付け替えをやってます。
ここは山間なので流路を変えるなんてことは難しそうなので、こんな工法で対応したんでしょうか。
明治、大正に作られたとはいえ、コンクリートを使ってないということは補修も要らない?のかもしれませんし、現に令和の今もその恩恵を受けているようなので、素晴らしい技術かなぁと感心してます。
結構山奥まで歩いてきましたが、観光地って訳でもなく、通路の先もよく分からなくなってきたのでこの辺で戻ります。
訪問した時は、ふーんって感じだったんですが、ブログを書いてる今ちょうど、小説で河村瑞賢(かわむらずいけん)の本を読んだばかりでちょっと感慨深いものがあります。
河村瑞賢は幕命を受け、奥羽の官米を江戸に回送するため阿武隈川の河口から江戸へ向かう東廻り航路、酒田から下関を通り大阪・江戸へ向かう西廻り航路を整備した人なんですが、それ以外にも様々な治水工事をやった偉人なんですよね。
しかし、よく見てもがっちり組まれてる石組で、全く損傷というか劣化というものがないですね。(ちゃんとメンテナンスはしているんだと思います)
一度見てみたいと思ってましたのでいい機会でした。
牛伏寺(ごふくじ)
その隣にある牛伏寺へも立ち寄ります。読み方は難しくて、「ごふくじ」と読むそうです。
山門(表門)。大正12年の再建。
厄除けで有名なお寺さんだそうです。これは如意輪堂で江戸中期のものだそうです。茅葺屋根がすばらしい。
ふらっと立ち寄ったんですが、かなり大きくて立派でした。
仁王門。江戸中期のもの。
観音堂。これも江戸中期のものだそう。
私は厄とかあまり信じないというか気にしない人なんですが、このコロナ禍の中だとちょっと感染しないようにお願いしたい・・・と思います。
行く前までは知らなかったのですが、建造物の多くが江戸時代中期から後期にかけて建築されたものだそうです。そうですよね、見ごたえ十分でした。
牛伏川フランス式階段工と近いので合わせて訪問がお勧めです。
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