花の北アルプス!朝日岳から蓮華温泉へ下山中に脛骨を骨折する事故。ヘリで救助される。
2021/09/21
2日目の途中から3日目です。
昨日までの2日で蓮華温泉から登って、白馬大池、小蓮華山、雪倉岳を歩いて朝日小屋までたどり着きました。
到着は12時前ってこともあってテント場には2番目。早々にテントを張って休憩します。
そしてお決まりのビールなんですが、なんでも「越冬ビール」とか。要は去年のビールなので越冬ってことです。
しかも古いので200円引きという超良心価格。350mlが400円でした。
去年って言っても味は分かりませんので、キンキンに冷えたビールを頂きました。
朝日小屋の私が来た反対側からも結構登ってくる方いらっしゃったのですが、地図を見てみると、北又というところから登れるらしいです。富山側だとそちらの方が便利なんですね。
時間を持て余してしまって、明日登る予定の朝日岳を見てみたりして時間をつぶします。
小屋周辺はどこも花がいっぱい咲いてました。チングルマの群生。
テント場は広いですし、トイレはきれいに掃除されてます。(紙はありませんので持って行きましょう!)
水場も水は出てますのでテント場としてはいいと思います。
朝日小屋は昨日泊まった白馬大池山荘と同じく、昼食とかはないようです。でもテント泊の人でもお願いすれば夕食は作ってくれるそうなので、次回来た時はお願いしてみてもいいかもしれません。
この日も18時過ぎには寝てしまいました。笑。
3日目。今日は朝日小屋から朝日岳を経由して蓮華温泉まで下山します。
朝は3時前には起きてしまったので出発は4時。4時過ぎには明るくなってくる予定なのですが、準備ができてしまったので出発です。
明るくなってきましたが、ガスガスでした。3日目で天気が崩れるのかな?まぁ雨は降らないとは思いますが。
最近はずっと快晴の中の登山だったので、こんなガスガスは久しぶりですね。
何にも見えない中、今回の山行の最後のピークである朝日岳に登頂。2418m。
ちょっと残念ではありますが、昨日までの絶景を思い出しながら下山することにします。
コバイケイソウがいっぱい咲いてますね。天気よければ見ごたえあるんでしょうね。
アルプスだとなんだかんだライチョウ遭遇率って高いんですよねぇ。日本のライチョウは3000羽だとか2000羽だとか言われてますが、あまりそれが気にならないほど、この広~いアルプスで結構会ってたりしますね。
ってガスガスの中歩いてると日差しが出てきてる?。ご来光かな?
晴れてくれればいいなぁなんて考えてると、ものすごい勢いでガスが流れて行ってます。おお、これは晴れるか?
見えてるのは雪倉岳か?やった晴れそう。一気にテンションが上がってきました。
吹上のコルですかね。ここから栂海新道の分岐になります。栂海新道を使って日本海まで歩くことができるんですね。
ロングトレイルが好きな方が一度は歩いてみたいって思うルートだと思います。私はそこまでは思いませんが。
いや~、気持ちいい歩きになってきたのですが、まだこのルートは雪渓が各所に残ってました。
朝日岳の手前もそうだったのですが、朝早い時間なので、まだ凍ってるというかカチカチなのでアイゼンを履いて進みます。
ほぼ雲取れました。
白馬方面見ると、左に白馬大池から小蓮華山へ続く稜線、正面に雪倉岳が見えますが、その奥に白馬岳と旭岳も見えます。
まったく登山日和りなのです。
ただ、大小残ってる雪渓があるので、軽アイゼンを付けたり外したりして進まないといけません。
まぁめんどくさいですね。そして残雪によって、ルートがちょっと分かりづらいところもチラホラあります。
ベンガラ(雪の上にある赤いマーク)を頼りながら、赤いリボンを探しながら進みますが、ルートミスしてしまいました。
川の上にのってる残雪。この時期は危険ですね。ここだと踏み抜きですめばいいですが、最悪下に落ちないとも限りません。
周りを探していたのですがどうもルートが見つからない。
ここでちょっと焦りとイライラが出てしまいました。どうしよ。
ってイライラしながらも、
って写真撮ってました。笑。
はい、一旦冷静になって、えっと道迷った時の鉄則は、・・・。
焦ってむやみにあたりを歩きまわったりせずに、もし山で道に迷ってしまったときには、とにかく正しいルートに戻ることを優先させること。
ですね。ただ、たった、2,3分進んだだけで元のルートが分からなくなる可能性もあるので、地図+コンパスは必須ですね。
私の場合はマップアプリ(山と高原地図)で現在地を確認しました。たぶん、数m正規の登山道からずれてるようです。
最近はこのマップアプリ(山と高原地図)が便利でこれに頼っているのですが、ちゃんと紙の地図とコンパスも次回から持って行こうと誓いました。
GPSは大きくずれたりすることがあるので緊急時には使えない可能性もゼロじゃないです。
電池切れやスマホを無くしてしまったなんてこともあるかもしれません。
元に戻ってきました。左にルートが合って、赤いテープが見えるのでそのルートは正しいはずで、慎重に進みます。
これを見落としてまっすぐ進んでました。まぁよくあると言えばよくあります。残雪期って事もあって登山道が荒れてることはよくあるので油断してました。
一安心。
写真に写ってる影は私です。
で、次の瞬間でした。
写真にも見えてるなんてことのない木道です。よく整備されていると思います。ただ、山ではよくあることですが、一部壊れて斜めになってる箇所がありました。
まぁそんなの日常生活でもよくあることですが、そこで朝露で濡れていたって事もあって滑ってしまいます。
その瞬間、
バキぅつ!?
周囲にも聞こえそうなデカい音が。
その瞬間、あ、折れたな・・・。
小さい頃から健康で、病気にもならず、怪我もかすり傷くらい。当然入院なんてしたことのない私。
骨折なんてもちろん初めてです。
でも、瞬間で分かるデカい音がしました。
折れた・・・。左足の脛の太い骨。(脛骨)
そのまま木道脇に倒れこみました。
痛みは、よく分かりません。
どうしよ。
なんで骨折したんだろ?
・道迷いから無事に復帰したのでちょっと油断して気が緩んでた。
・木道が傾いてて、朝露で濡れてた。まぁこんなことはよくあります。
・体力とか
これは自慢じゃないですが、登山のために相当鍛えてます。
・たまたま。
これですかね・・・。
木道で滑って、で、足が引っかかって、で、テント泊装備でざっと15kgくらいのザック背負っていたのでバランスを崩して想定外の方向へ向いてしまって、ハイカットの登山靴で、脛の一か所に過度に力がかかってしまった。
ので折れたというのが自己分析結果。これ防ぐには慎重に歩きましょうしかないかなと。そうすると誰にでもあるリスクかなと思います。
20年以上登山してて、まぁ自分がケガするなんて思ってもいませんでした。
貴重な経験なので参考になるかもしれません。細かくその後の経緯をかいてみます。
6:30頃:骨折。
間違いなく折れているのでその場から動かず。100%歩けないので救助をお願いしないといけません。まずは携帯を取り出します。で、圏外。おーまいがー。って今回のルートはほとんどが圏外だったので仕方ないですね。(ソフトバンク)
後続の方がいらっしゃったので、救助の連絡をお願いしました。1人目は携帯の電池切れとのことだったので、下山後に救助要請してもらえるようにお願いしました。
さらに後続の方がいらっしゃって、ドコモだったのですが、ドコモも圏外だったので、電波がつながれば救助要請してもらえるようにお願いしました。
後で分かったことですが、蓮華温泉も含めてずっと圏外だったそうです。
他の方も、痛み止めは飲んでるかどうか?水分と食料の確保はできているかどうか。ってとっても丁寧に助けて頂けました。
痛み止めはいつも持ち歩いているのですでに飲んでて、水と食料はあるのでそこは大丈夫でした。
湿地帯に倒れこんでいたのですが、テントマットを何とか広げてその上で待機してました。
9:30頃:山小屋の方が救助に来てくれました。
細かい連絡経路は分からなかったのですが、通報を受けた朝日小屋の方が救助に来てくれました。骨折から3時間。ちょっと弱気になってたところ。
症状見てもらいつつ、テントのポールとストックで添え木してもらいました。ちょっとでも動かすと激痛です。添え木するのもつらい。もう痛みで1mmも足を動かしたくないです。
痛みは足を動かさなければ(痛み止めが効いているのか)それほど痛みはなかったです。でもパンパンに腫れてました。
10:30頃:救助要請
朝日小屋と県警と各所で連絡を取りながら、新潟県警のヘリで救助してもらえることになりました。
場所は新潟になるのですが、まぁすぐに富山と長野の県境があります。で、長野県警も富山県警も他の救助でヘリがこれないようで新潟県警になったと聞きました。
救助要請して分かる、来ないかもしれないっていう現実ですね。
11:30頃:救助
新潟県警のヘリが来ました。ヘリは着陸できないので、10m位上まで来てもらって、ロープで吊られて救助されました。
救助の途中は足は激痛ですが、そこは我慢です。案外我慢できました。なにせ元気で生きてますから。
12時過ぎ、病院へ
ヘリで近くの消防署まで運んでもらい、そこから救急車へ移動して、近くの総合病院へ搬送されました。
長いようで短いような骨折してからの6時間。病院ではすぐにレントゲンとCTスキャン。
診断結果は、ひざ下の脛骨(太い骨)と腓骨(細い骨)の2本ともねじれたように折れているので手術が必要。ラッキーだったのは、血管も神経も損傷していないので緊急手術は不要とのことでした。
骨折を振り返って、いろいろラッキーだったと思います。
・ルートミスから復帰できていた。まぁ、これに限りますね。ほんと。デカい声だしてもそれほど通じないと思います。
・ヘリで救助してもらえた。これもデカいです。県警ヘリで救助してもらえたので、費用は掛かりません。山岳保険入っていなかったので、民間ヘリ、または担ぎ上げ救助だと数百万は覚悟しないと行けなかったと思います。
・日曜日で登山者が比較的多い日でした。百名山ほどではないですが、後続でざっと20名位の方が下山されてたと思います。ブログの通り私はなるべく早い時間に出発するのでそれもよかったのかなと思います。
後続の方が居なければ、翌日までビパークでした。(翌日は月曜なので下山者いたかどうか)・見晴らしがいい場所で天気がよくてポカポカ陽気だった。天気が良かったのでヘリで救助してもらうことができました。またみはらしもいいところだったので、現在地の特定もすぐにできました。
・足だけだった。頭含め上半身は無傷だったのでその点は不幸中の幸いだったと思います。
とはいえ、反省点は多くて、それは別途まとめたいと思います。
山小屋の方に防災無線で各所へ連絡してもらいつつ、4名の方に助けて頂きました。灼熱の太陽を遮れるようにずっとアウターで私に日陰を作ってくれたり、励ましてくれたり、ほんとに迷惑をかけた私が悪いんですが、優しく優しく助けてもらって本当に感謝しかありません。
必ず元気になって、また朝日小屋まで行って直接お礼ができればと思ってます。
山登られる方はお気を付けて。